命も脅かされる抗がん剤の危険な副作用

がん治療に用いられる抗がん剤は、がんの増殖を抑制、死滅させる高い効果があります。しかし、正常な細胞にも影響を与え、患者さんにさまざまな副作用がもたらされるリスクがある治療法です。最近では、副作用の少ない免疫療法が注目されています。

抗がん剤の副作用について詳しくなりましょう

病室

なぜ副作用は起こるのか

抗がん剤は、増殖の早い細胞を死滅させる作用があります。異常な速度で増殖するがん細胞に高い効果をもたらしますが、体の中にはがん細胞以外にも、増殖が早い細胞は多くあります。

主に挙げられるのが、骨髄(赤血球や白血球、血小板の元となる血球細胞)と消化管(口と口腔、食道、胃や腸)の粘膜。さらには生殖器(卵巣、睾丸)と毛根の細胞も影響を受けやすいとされています。心臓や肺、膀胱や神経系など、がん細胞だけでなく全身の細胞にダメージを与えてしまうリスクがあるのです。

副作用が続く期間について

女医

副作用を軽減する薬や手段の改良によって、副作用はほとんどの場合、早い時期に回復するとされています。しかし、中には数ヶ月から数年に渡り手足のしびれが残る場合や、稀に生涯付き合わなければならない副作用が残ることもあるのです。

副作用の種類

副作用の種類
吐き気・嘔吐・食欲不振

吐き気、嘔吐、食欲不振の症状は大腸がんの化学療法によって多く現れる副作用です。抗がん剤投与の際には、予防的に吐き気止めの薬を用います。

下痢

下痢による症状は、一日4回以上、軟便や水様便などの重い下痢症状に悩まされます。便に血液が混じることや、ひどい腹痛も現れます。

口内炎

口内炎は、口腔の粘膜に影響が与えられることで発症します。口の粘膜がただれ、食事のたびに口がしみるようになります。

骨髄抑制

骨髄抑制とは、骨髄で作られる白血球や赤血球、血小板の減少が現れることです。白血球の減少による免疫力低下、赤血球減少による貧血、血小板減少によって出血が起こりやすくなるといった症状が現れます。

肝機能障害

肝機能障害は、肝臓の働きが抑制される症状です。だるさなどの症状が現れやすくなり、悪化すると皮膚や粘膜が黄色っぽくなる黄疸が現れます。

色素沈着

色素沈着は、手や足に日焼けやシミができたように肌が褐色になってしまう症状です。症状が重い場合はひび割れや出血まで現れます。

脱毛

脱毛は、髪の毛だけではなく、全身の体毛が全て抜け落ちてしまいます。抗がん剤治療が終わった後、早ければ2ヶ月から4ヶ月程度で回復します。

末梢神経症状

末梢神経症状は、冷たいものに触れた時、手足に痺れが現れる感覚異常です。食事がしにくくなることや、のどが締め付けられるような感覚に悩まされる場合もあります。

重篤な症状が「アナフィラキシーショック」

アナフィラキシーショックとは、体に異物が侵入した時、免疫が過敏に反応することで引き起こされる症状です。抗がん剤は細胞を死滅させるほど強力な効果のある薬なので、免疫は抗がん剤へ過敏に反応します。ほとんどの場合、抗がん剤治療によって過敏反応が引き起こされるのです。

主な症状には、抗がん剤投与を行ない30分の間の、血圧低下や呼吸困難、気管支痙攣、不整脈などがあります。全身に激しい症状が現れ、命の危険に晒されることがあります。現在行なわれている対策として、アレルギー反応が出た薬は次からは使用しない、点滴の速度を遅くする、経口薬に切り替えるといった方法が用いられています。特にアレルギー反応が強いパクリタキセルなどの薬剤を用いる場合は、抗ヒスタミン薬やステロイド薬によって、症状を予防することが義務付けられているのです。

「免疫療法」に注目

治療方法

手術療法、化学療法、放射線療法の3つは三大がん治療と呼ばれています。最近では、この三大がん治療へ新たに加わる第四の治療法が注目を集めています。それが、免疫療法と呼ばれる治療法です。

免疫療法とは、自分自身の免疫力を使う治療法です。がんの発症は免疫力と深い関わりがあり、免疫細胞の力が正常に働いていれば、がんを発症するリスクを抑えることができます。人の体には日々3000個から5000個ものがん細胞が発生していますが、それらのがん細胞は、免疫細胞の働きによって増殖する前に消滅させられているのです。

免疫療法のメリットはがんへの治療効果が長時間持続することです。また、手術療法、化学療法、放射線療法と組み合わせて、治療効果を高めることもできます。

免疫療法の種類

樹状細胞ワクチン療法(DCワクチン療法)

樹状細胞療法とは、免疫細胞の司令塔となる樹状細胞を用いる治療法です。樹状細胞療法は、手術で取り出したがん組織や、人工的に合成したがん抗原を樹状細胞に取り込ませ、患者さんの体内に戻します。体内に入った樹状細胞は、Tリンパ球などの免疫細胞を活性化させて、標的となるがんを集中的に攻撃させます。

NK細胞療法

NK細胞とは、がんを含む異常な細胞を全般的に攻撃する細胞です。がん細胞が目印となるがん抗原を隠している場合にも、NK細胞は殺傷することができます。治療では、患者さんから採血を行ない、リンパ球に含まれるNK細胞を採取・培養します。増殖したNK細胞を再び患者さんへ投与し、NK細胞によってがんを攻撃させられます。

ガンマ・デルタT細胞療法(γδT細胞療法)

ガンマ・デルタT細胞療法とは、採血した血液からTリンパ球中にあるガンマ・デルタT細胞を増殖、活性化させて再び患者さんに戻す治療法です。骨腫瘍、骨転移の治療ではゾレドロン酸という薬を使いますが、ガンマ・デルタT細胞はこのゾレドロン酸で活性化するため、ゾレドロン酸を用いた治療と併用することで相乗効果が得られます。

アルファ・ベータT細胞療法(αβT細胞療法)

アルファ・ベータT細胞療法とは、がんを攻撃するリンパ球から作られるアルファ・ベータT細胞を活性化させる治療法です。免疫療法で現在最も普及している方法です。リンパ球の約70パーセントから80パーセントを占めるT細胞を活性化させることで、免疫力を高める効果があります。

CTL療法

CTL療法とは、細胞傷害性T細胞を利用した治療法です。標的となるがん細胞のがん抗原タンパク質をこの細胞傷害性T細胞に取り込ませることで、標的のがん細胞を特異的に攻撃させることができます。

免疫療法の3つの特長

①副作用がほとんど起こらない

②延命効果がある

③QOL(生活の質)が上がる

top